ボローニャからバスで小一時間の社会的協同組合が運営する障がい者施設のコーパップス(COPAPS)を訪問した。この施設はNHKでも紹介されたが、障がい者と健常者が一緒になって社会的協同組合を設立し、野菜や果物の有機栽培を行い、その販売とレストランを運営している。
案内はロレンツォ・サンドリ理事長である。彼は井上ひさし「ボローニャ紀行」にも登場した人物である。ロレンツォ・サンドリ理事長は何の飾り気もなく、淡々と語ってくれた。その中に住民自治を考えさせる内容があった。
一つは日本のように障がい者の施設を社会福祉法人でなく、社会的協同組合で運営している違いである。ここには本質的な問題が潜んでいるように思えた。運営者が主体で障がい者は客体であるのか。障がい者も健常者も一緒に運営に当たる社会的協同組合こそ、この謎を解く回答ではないか。
もう一つは理事長が「協同組合はこの地域の人びとのためのもので何も大きくする必要はない」と語ったことである。これは日本の協同組合が巨大化の一途をたどっている中で何のための協同組合なのかを考えさせる言葉であった。日本人はとかく大企業に太刀打ちするためとか、運営の効率化を図るためとか、を理由に枠組みを大きくしたがる傾向がある。だが本来は協同組合そのものが住民自治と深く関わって発展してきた。住民自治を忘れた協同組合運動とはどんな運動なのだろうか。このことに回答を与えてくれたように思える。
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